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2014年5月13日火曜日

「田園に死す」 映画のお話です。


田園に死す」 映画のお話です。




こちらの映画は、1974年公開の邦画になります。






監督
脚本 

寺山修司


出演

八千草薫

春川ますみ


菅貫太郎 他





<映画 田園に死す 予告編>






ストーリー


恐山麓に住む主人公の「私」が、母との離別を願い、近所の人妻と一緒に駆け落ちしようとする。
しかし、その駆け落ちは失敗に終わってしまう。
と、突然、現在の「私」が現れ、当時の「私」と向かい合い、語り始める。
過去と現在が混濁した世界へと変調をみせると、渦を巻くようなラストシーンへと繋がっていく。




解説と感想


自分で書いておいてアレなんですが、簡単なストーリーとしてはこの様な感じでしょうか。



というのも、映画中に、
「見せ物小屋サーカス」
「眼帯黒ずくめのおばあさん集団」
「顔面白塗りのおじいさん集団」
「タイムマシーン」
などが混在し、



あげくに過去と現在の私が同時に出演してますので、それこそ明確なストーリーラインというのは存在していないのではないかと思います。



ただ、この映画の根底を流れる本流というのは明かであり、
それは「母に対する愛憎」にあたるでしょう。

この点に関して詳しくは述べませんので、1度この映画を鑑賞して頂く事をオススメ致します。







監督の「寺山修司」さんは、すでにご存じの方が多いとは思うのですが、「言葉の錬金術師」の異名をとり、
あらゆる日常と非日常へ楔を打つかの如く、演劇から映画から詩集などなど、様々な媒体で個性を発揮されている方です。






それでは早速本題に入りますが、この映画の何が素晴らしいかと申し上げますと、
構図と色彩、そして象徴
です。



監督脚本が「寺山修司」さんですから、映画自体の構図もさることながら、1枚の絵画としてこの映画を切り取った場合も、すべてがすべて美しい情景、あるいは憧憬になっています。



さらには、ところどころに挿入されるセロファン的な色彩も相まって、
観る者を否応無しにも映画内へ引きずり込んでしまう程の魅力が詰め込まれています。



そしてその上で、
「遺影を磨く遺族」
「櫛」
「線路を渡る布団」
「ひな壇」
などの象徴的アイテムが映画のありとあらゆる場所へひっきりなしに現れます(マクガフィンという訳ではありません)。
ですから、その象徴に対して何度も何度も考え込まざるを得なく、
故に幾度も鑑賞出来る作品にあたります。



映画の途中、「過去の私」と「現在の私」が面と向かって話し始めるシーンなどは、
人間に集合的無意識があるとするなら、そいつへ直接的刺激を与えているのではないかと感じる程で、




さらには、驚愕のラストシーンにおいて、その無意識が一気に弾ける音まで聞こえてくる程です。



魅惑的な構図、色彩、過去と現在
これらが混ざり合いますと、普通はとんでもない自己中的映画に仕上がってしまいます。
しかしこの映画は、「母」という本流がしっかりしているからこそこのような手法がより際立つ事となり、
それが自己中映画などではなく、「類い希なる個性へと昇華」される結果に繋がっているのではないでしょうか。






と、上から目線で語ってしまいましたが、
何より、人を惹きつける作品である事は確かです。



私自身も寺山修司さんの大ファンで、俳句集や詩集を本棚へ大事にしまっております。



そして時折出して眺めてみれば、一気に非日常へと吸い込まれ、この世界へ戻って来るのに一苦労する程です。



映画「田園に死す」は、
「日常」と「非日常」それら相反する現実を呑み込んだ上で、私達へ見た事もない場所を提供してくれる点を以て、寺山修司真骨頂の映画ではないかと思います。






辛い現実に疲れたなあ
と思いの方であれば、まず間違いなくハマる映画になりますので、是非1度ご鑑賞下さい。

ただ、こちらの世界へ戻って来られなくなったとしても、私は責任を持ちませんが。







※参考までに、ニコ動のMAD作品を置いておきます。




その他映画情報


・「アクト・オブ・キリング」  ・「田園に死す
・「YOUNG YAKUZA」  ・「GODZILLA
・「ある戦慄」  ・「カノン
・「ブシドーマン」  ・「空飛ぶゆうれい船
・「ゴール・オブ・ザ・デッド」  ・「籠の中の女
・「悪い種子」  ・「龍の忍者
・「シッチェス映画祭」 ・「追悼のざわめき
・「God Bless America」 ・「プリズンフリーク
・「R-100」 ・「未来惑星ザルドス
・「切腹」  ・「幸福
・「立候補」 ・「バッド・マイロ!
・「ゆきゆきて、神軍」 ・「アドレナリン
・「砦なき者



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2 件のコメント:

  1. あのラストシーンは呆然としてしまいました。真夜中に小ちゃいテレビ画面で黙々と田園に死すを見た思い出は一生忘れないでしょう。
    紹介されてる映画が私の好みのものが多くて思わずコメントしてしまいました。それでは失礼しました。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。
      私もこの映画を観た後、「何を考えればいいのか」「俺は今、何を観ていたのか」さっぱり分からなくなってしまいました。ですが、この映画を思えば思う程、折り重なる糸のように何かが繋がっていく感覚で、他の映画では味わえない感情です。
      この点だけ抜き出したとしても、素晴らしい映画ですよね。

      削除