過去記事ランダム

2015年6月29日月曜日

「CUT」 映画のお話です。


「CUT」 映画のお話です。


公式サイトはこちらから




今回は、YAHOOさんが運営されている動画サイト「GYAO!」さんにて、現在無料公開中の映画を紹介させて頂きます。


なお、公開中ということで、いつものようなキャプチャー画像等はございませんので、ご了承下さい。


「GYAO!」内、映画「CUT」へジャンプ




2015年6月27日土曜日

そんなこんなで休憩タイム。


今月は、「志磨参兄弟」の紹介。




先日アップした小説「Dusk Mask」にて、仮面やひょっとこを扱いましたが、それ繋がりということで、「志磨参兄弟」の紹介です。



「志磨参兄弟」 公式HPへ



彼らは、2001年から活動されているHIPHOPミクスチャー系のバンドで、主に「日本文化」と音楽の融合を取り扱っておられます。


メンバーには、津軽三味線を弾く女性やサックス演奏者がおり、独特の音楽をされています。


現在も活動中で、アルバムも精力的に出されています。




公式ツイッターはこちらから!




2015年6月25日木曜日

最終話 「Dusk Mask」


網葉きよら中編 「Dusk Mask」 最終話








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第1回 ・第6回 ・第11回 ・第16回
第2回 ・第7回 ・第12回 ・第17回
第3回 ・第8回 ・第13回 ・最終回
第4回 ・第9回 ・第14回
第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 最終話




 一瞬、何かへ気を取られた俺だったが、振り向きざま目に入ったポニーテールの揺れ具合に腹が立った。

 だったら、俺の後ろにいるであろうセーラー服へ肘鉄(ひじてつ)だ。

 ――ガツン!

「痛っ! い、いやっ! ダメっ! 保木さんなんでっ! なんでよ……もう……」

 ざまあみろ。蹲(うずくま)って泣いている。

 よし、もう一振り、もう一仕事。

 泣いてるコイツの頭へもう一仕事だ。

 そしてこれで何もかも、何かよく分からない何かが終わるハズだ。

 ――ザザザザッ!

 ん? なんだ? 何かが開いた。

 何だろう? クソムカツクな。





2015年6月24日水曜日

オカルト風小説「Dusk Mask」 第17話


網葉きよら「Dusk Mask」 第17話






次回がラストになります。






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第3回 ・第8回 ・第13回 ・最終回
第4回 ・第9回 ・第14回
第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第17話




「あなたね、この仮面のことをあれこれ言ったけども、私たちはね――私たちは美しいのよ。美しいからこの仮面なの。オリジナルだからこそ被らなきゃならないの。汚れてないから、隠さなきゃならないの。

 あなたのようなね、コピーの複製のコピーの、摩耗(まもう)し尽くした人間には到底理解出来ないでしょうけど、ああそうね、摩耗し過ぎて灰になってるから分からないんでしょう」

「何言ってるかさっぱりなんだよねー」

 直子さんが、浴衣の帯を数度手で払いながら続いた。






2015年6月23日火曜日

中編小説「Dusk Mask」 第16話


オカルト風小説「Dusk Mask」 第16話






全15回くらいの予定でしたが、文字数的にもう少し伸びそうです。
ご了承下さい。





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第1回 ・第6回 ・第11回 ・第16回
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第3回 ・第8回 ・第13回 最終回
第4回 ・第9回 ・第14回
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Dusk Mask 第16話




「ええ、その通りでございます。しかしですね、わたくし達もまた生活というものを営んでおりますので、その時々によって気持ちや趣が異なる事がございます。それはあなた様もご一緒かと思われますし、ああ……失礼致しました、あなた様もご同様かとお察ししております」

 その言い換えにカチンと来た。

「いやあのさあ……、なんかムカつくんだよね、その物言い……。俺がさあ、まだ丁寧なうちにね、丁寧なうちに、そこら辺[察して]それこそ[察して]くれるとありがたいんだけどさあ……。あんたならそれくらい出来るでしょーよ」

 菜々美さんは、正座した足を崩すことなく、少し俯(うつむ)きながら続いた。

「はい、おっしゃる通りでございます。しかしですね、しかし――」

「やめろや菜々美さんっ! その[しかし]とかそういうのがムカつくんだよっ!」

「は、はい……失礼致しました」

 その他の人間は、俺達のやり取りをただ眺めているだけだ。

「だーかーらー! ……いやもういいや、めんどくさい。あんたもういい、もういいよ。もういいから、さっさと夜食、作ってくんないかな!」

「……はい、かしこまりました。では、少々お時間を頂きますがよろしいでしょうか?」

 その[時間]という言葉へ如実に反応したのは、俺と軍次さんだった。





2015年6月21日日曜日

網葉きよら小説「Dusk Mask」 第15話


小説「Dusk Mask」 第15話






全15回くらいの予定でしたが、文字数的にもう少し伸びそうです。
ご了承下さい。





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第1回 ・第6回 ・第11回 ・第16回
第2回 ・第7回 ・第12回 第17回
第3回 ・第8回 ・第13回 最終回
第4回 ・第9回 ・第14回
第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第15話




 フラフラとした足取りで辿り着いた場所は、中央の大きな家。その赤い屋根がある玄関を開け、まっさきに大部屋へ移動する。それから、朝食が出ていない事を確認すると、さらに鎌を持つ手に力が入った。だが俺は冷静だ。一旦自分の部屋に戻り、鎌を放り投げる。側にカバンらしき物があったが、今はそれより朝食だ。仮に百歩譲ったとしても、冷たいお茶くらいは飲みたいところではある。

 襖を思いっ切り開けると、またあの臭いがした。

 草の臭い。自然の臭い。田舎の臭い。俺はどうもこれが苦手だ。しかしどこをどう探しても草はそこになく、大部屋中を凝視して回った。

「あっ!」

 途端、自分の手から草の臭いが発生している事に気付く。





2015年6月20日土曜日

第14話 「Dusk Mask」


おもてなし小説「Dusk Mask」 第14話





全15回くらいの予定でしたが、文字数的にもう少し伸びそうです。
ご了承下さい。





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第1回 ・第6回 ・第11回 第16回
第2回 ・第7回 ・第12回 第17回
第3回 ・第8回 ・第13回 最終回
第4回 ・第9回 ・第14回
第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第14話




「おうなんでもねえよ! それよかメシ遅えなあ! おーい菜々美! まだかよ! さっさとしろよバカ野郎!」

「いや俺もさっき菜々美さんにそう言ったんすけどね、最近おかしくないっすか?」


「あ? 誰がよ」

「菜々美さんっす」


「あ? 誰が誰に対して[おかしい]つってんだ? あ? 保木! お前分かってんだろうな! どうなるか分かって言ってんだろうな!」

「は? いやマジおかしい時があるって言ってんすよ」


「あん!? なんつった!?」

「別に普通っすよ!」


 玲奈ちゃんが、軍次さんを制止ながら言った。

「ちょっとお父さん! やめてよもう! 恥ずかしいじゃん!」






2015年6月19日金曜日

第13話 「Dusk Mask」


中編小説「Dusk Mask」 第13話






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第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第13話




「そういえば、畳の目を数えてると頭がおかしくなるらしいなあ。まあ、俺はそんなアホな行動しないけど」

 言葉とは裏腹に、畳の目に釘付けとなる。しかし、視界がぼやけてしまって数える事が出来なかった。

「……よく見えなくなってきたな。つうこうとはだ、やっぱ、あいつらに薬盛られてんじゃないのか? ――あっ」

 声が届いていたらマズイと感じ、咄嗟(とっさ)に口元へ手を当てる。もちろん、仮面の冷たい感触付きだ。

「あれ? ん?」

 仮面のあらゆる部分を触り始める。

「……まあいっか」

 違和感なるものを覚えたのだが、その原因までは掴めない。また、掴めないものだから余計に腹が立ってきた。

「……お茶まだかよ、こっちは客なのに」

 自分の中にある赤い何かが音をたて、「シュッ」とラインを引いたような気がする。






2015年6月17日水曜日

第12話 「Dusk mask」


オカルト中編小説「Dusk Mask」 第12話






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Dusk Mask 第12話




「……あの、どうしたんですか? お茶、いります?」

 精一杯気を遣ったつもりだ。だが、その男はあろう事か、差し出されたお茶を地面に置き、ケミカルなポケットから取り出したライターを手にする。それから前屈(まえかが)みとなり、地面に置かれた湯飲みへ火を点けようとしていたのだ。

 あっけにとられた俺は、「は? え?」という言葉しか見つからなかった。

 しかし、どう考えても、ライターで湯飲みに火が点く訳がない。訳がないのだが、彼は必死にライターをカチカチ鳴らす。

 点かない。

 勿論、点かない。

 焦(あせ)り始めたのだろうか、その男は、何やら呪文のような言葉を唱(とな)え、さらにカチカチ音を増幅させた。

 ――カチカチカチカチ

 点かない。

 当然、点かない。

 次第に笑いそうになって来た俺だったが、まだ頭の中へ何かが残っていた。

「……い、いやあ、それ、点かないですよ? だ、大丈夫ですか?」

 すると、前屈みとなった仮面奥からハイトーンなクリーンヴォイスが放たれる。

「――さりさむえいーむえいーうんらんこうじー、おおおおおっ、ぐんでりんきーー!」

 よく分からない。異国の人なんだろうか?

 そう感じた直後、彼はこちらへスッと向き、ゆっくり、ただゆっくりと指をさした。

『あ、この光景見たことがあるな。けど、どこだっけ……。まあいいや、それよりも、アレだ。人の顔に向けて指をさすな。失礼だろうがマジで。あー、なんか腹が立ってきた。ムカツクなあ……クソ』





2015年6月16日火曜日

第11話 「Dusk Mask」


網葉きよら小説「Dusk Mask」 第11話






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第4回 ・第9回 第14回
第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第11話




 来た道を戻り、大広間に辿り着く。そこでは、すでに料理が両手を広げていた。

 玲奈ちゃんは学校へ行ったらしく、それ以外の家族と俺がテーブル前に座る。そして、軍次さんが言った「頂きます!」という張りのある声で、朝の日常が開始された。

 朝からこんなに多い品目を食べた事なんて最近なかったけど、箸(はし)をあちらこちらへ動かし、次々と仮面奥へ放り込んだ。ふと、菜々美さんに目線を送ったが、彼女はほとんど食べていないようだ。というより、軍次さんをたてている風でもあった。

「菜々美さん、食べないんすか?」

 このあけすけ感はB型ならでは、と我ながら思う。

「ご心配ありがとうございます。後程頂きますので」

 今日はブルーのカーディガンに黒のスカートだ。一方、直子さんはというと、薄紫の浴衣だった。

「保木くん、あなたは本当によく食べるのね。けどまあ、それでこそ男よね。わたしもねえ、若い頃は、この軍平と出会って心底幻滅したのよ。あら違ったわ、惚(ほ)れていた、の方ね。それで、この軍平はね――」

 過去の話が延々と展開され、その話の中心人物は軍平さんだった。彼は、黒いタンクトップにハーフパンツと、夏らしい仕様になっていて、見た目は普通のおじさんだった。けど、彼にもまた、仮面なるものが存在する。

「……まあな。だけど直子。あまり喋りすぎるのもワシはどうかと思うんだがなあ」

 ここへ来て初めて、軍平さんの長文を聞いた気がするので、俺も割って入る事にした。





2015年6月15日月曜日

第10話 「Dusk Mask」


小説「Dusk Mask」 第10話






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第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第10話




「そう。それでいいのよ。じゃあ……フフフ、あらいやだ、味気のないお話になってしまったわねえ。せっかく保木くんがいらしてるっていうのに、コラ軍次、あなたこの場を盛り上げなさいよ」

「お、おう……。じ、じゃあよ、アレだアレ。菜々美! アレ持って来いアレ! そいつさえありゃあ保木くんも両手を挙げて喜ぶだろうよ! な? そうだろお前。昨日は俺が勝ったけどよう、今日はどうだろうなあ? ええ? お前も勝ちたいだろ? 今日くれえは勝ちたいよな? だったらよ、俺が手を抜いてやっから、おい菜々美! 早くしろよ早くよ!」

 軍次さんは、一瞬詰まった返答を行ったが、その後は雪崩(なだれ)れ込むようにして喋った。だから俺も、この場をなんとかしようと……ぶっちゃけ言うと、そこまで頭が回っていなかった。だから、軍次さんの雪崩れに乗るしかなかったのだ。





2015年6月13日土曜日

第9話 「Dusk Mask」


網葉きよら 「Dusk Mask」 第9話







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第5回 ・第10回第15回




Dusk Mask 第9話




 大部屋に戻ると、すでに食事が数品並べられていた。軍次さんも昨日座った場所におり、仕方ないので俺も昨日と同じ場所に座る事にした。

『これ食べたら帰ろう。今は夏だから、十八時といっても外はまだ明るい。ん? そういえば、あの首輪の人はまだいるんだろうか?』

 少し気になってしまったので、軍次さんに「ちょっと外の空気を吸っていいですか?」と問えば、「おう。カバンは置いとけよ。そんで、つっかけがあるからソレ使え」と言ってくれた。

 玄関で男物であろうサンダルを履かせてもらい、夕日が沈む田舎の風景を眺める。

「……こういうの、風情(ふぜい)がある、とか言うんだろうな。でもなあ……この村は……」

 緑の間に沈んでいく太陽を目(ま)の当たりにし、圧倒的な何かを覚える。と同時に、別の何かも声を荒げる。

「お前帰れ! 死ね! 帰って死ね! この家に来るな! 来ちゃ駄目だ!」

 相変わらずのようで、少しホッとしたような、それでいて不思議な感覚が身体中を廻(めぐ)った。

「この野郎帰れ! メシ食べるなバカ野郎! 死ね! 帰って死ね!」

 どうしてここに、その上首輪を付けているのか、やっぱり気になった。





2015年6月12日金曜日

第8話 「Dusk Mask」


中編小説 「Dusk Mask」 第8話







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第4回 ・第9回 第14回
第5回 第10回第15回




Dusk Mask 第8話




 ――布団の中。

 涼しい。

 横に何かある。

 柔らかい人間。固い仮面。

 はだけた白い肌。

 気持ちがいい。

 もっと密着したい。

 涼しい。どこか涼しい。

 ――目を開ければ、熟したての柔肌。そこから異様な仮面が生え、その奥では、長いまつ毛が俺の息遣いで揺れている。

『ああ……菜々美さんか……』

 俺が覚えているのはそれだけ。ただそれだけだった。だが、涼しいのは理由があるように思えた。それは、俺が半裸状態である事と、汗をかいた後である、という事実が物語っていた。

『まだ眠い……。もう少し……もう少しだけ……』

 バイト前に必ず訪れる朝の風景が、この辺鄙(へんぴ)な場所で滞(とどこお)りなく行われた。

 ――

「! うわっ! えっ? 今何時? ……そ、そうか、今日はバイトなかったんだ……。え? ん? 誰? つーか誰? ……菜々美さん? ちょ! え? 何? なんでここにいんの? 俺もなんでこんな……あ、寝ちゃってたのか。そうかそうか――ってこれはどうよ? ヤバくね?」

 俺の饒舌が朝でない事を証明する。

 カバンをまさぐり、携帯を出してみれば、十七時だった。

「は? いやさっき朝だったじゃん? それで今十七時? お、おいマジかよ……。そんで、布団になんで菜々美さんがいる? 俺は……俺は……どうしちゃったんだ?」

 考え込もうとするも、それを仮面が妨(さまた)げる。

「……な、なんでだよ……」

 すると、別の仮面が俺の思考を制御する。

「保木さま、そろそろお夕食の時間ですので、わたくしは準備の方へ参ります」

「へ? え、ええ、あの、それであの、俺はやっぱ寝ちゃったんすか? しかも菜々美さんと……」

「さようで御座います。それではまた後ほどに」

 そう言い残すと、服を手に下着姿のまま、この小部屋を後にした。





2015年6月11日木曜日

第7話 「Dusk Mask」


オカルト風小説 「Dusk Mask」 第7話







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Dusk Mask 第7話




 カバンを手に、もう一度立ち上がる。そしてまた四方の確認だ。とりあえず目の前にある襖まで歩き、慣れない手つきで開ける。

 昨日の大広間が見える。

「……そっか。ということは、あっちが玄関だな」

 小声で言ったつもりだったのだが、何故かまたあの人が現れた。

 赤い刺繍の着物。直子さんだ。

 対面の襖が閉まると、口紅を付けているであろう直子さんが、俺に向けこう言った。

「帰るの? でも、軍次がどう思うかしら?」

「いえまあ……、色々して頂いて、本当に感謝しています。それで、軍次さんにもそうお伝え頂けますか?」

 寝起きにしては上出来な文句だ。しかし、直子さんはさらに続ける。

「あなたに帰る所があるのは分かってる。けど、軍次さんに挨拶くらいはしておかないとね」

 確かにそうだ。

「は、はい。じゃあ、軍次さんはどちらに?」

「今は玄関で靴を磨(みが)いているわ。それもあなたの靴をね」

「は? え? 俺の……ですか? いやそれは申し訳ないといいますか、ええと……」


 まごついた語尾に、直子さんの柔らかい毒が割って入る。

「そうね。お仕事も今日まででしょう? もう少しこの家で寛(くつろ)いでいけばいいのにね」

「それは無理っす! あと、この仮面もお返ししなくてはいけないので!」


 思わず本音が出てしまった。






2015年6月9日火曜日

第6話 「Dusk Mask」


網葉きよら小説 「Dusk Mask」 第6話







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第2回 第7回 第12回 第17回
第3回 第8回 第13回 最終回
第4回 第9回 第14回
第5回 第10回第15回




Dusk Mask 第6話




 待っている間、俺と玲奈ちゃんの他愛もない話しがひっきりなしに飛び交い、その間を交差するかのように、軍次さんの自慢話がここにあった。

 幾ばくかして、菜々美さんが花札を持ってくる。

 背の低いテーブルの上に座布団が一枚ひかれ、真っ白な四角形の上に、日本独特の綺麗な絵柄が並ぶ。

 生口(せいぐち)さんの家族五人と俺、計六人が大広間中央に集まり、ありきたりな歓談すらなく、花札が始まった。しかし、軍次さんの仮面奥から、「負けたらバツゲームな!」という音が漏れたような気もしたのだが、今の俺に確認出来る程の判断力はなかった。だから、花札で大負けするのも無理はない。

「いやー軍次さん強いっすねアハハハハッ! そんで今何時っすか? あれ? ケータイは……」




2015年6月8日月曜日

第5話 「Dusk Mask」


網葉きよら小説 「Dusk Mask」 第5話







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第3回 第8回 第13回 最終回
第4回 第9回 第14回
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Dusk Mask 第5話




「俺はよう、ここにずっと住んでんだ。いやまあ多分だけどよ、それはまあい。それでよ、菜々美のアホにいつも言ってんだが、テーブル汚ねえよな? わりいねお客なのによ。こんな汚ねえ部屋でよ、汚くてしょうがねえ。本当に汚いよなあこの家は! なあ、なんで汚いんだよ! ああ!? クソみてえなトコだ! 本気でクソなんだよバカ野郎っ! おい菜々美! さっさとビールとメシ持って来いっ! 遅せえんだよこの売女(ばいた)っ!」

 なんで声を荒げたのか、俺には理解出来なかった。けど、テーブルは汚くなんてないし、いやむしろ、Tシャツから伸びているその無骨な腕の方が、俺には不躾(ぶしつけ)に見えた。だから、俺が無言になってしまったのも仕方がない。

おい保木くん! なーに黙ってんだよ! お前はアレか? アレだよな? 一人暮らしとかだろ? いーよなー一人やもめはよ。俺もどっか旅にでも出てよ、色んな女コマシたいやな。そうだろ? なあ?」

「あ、はあ……」

「そんでよ、この辺りは初めてか? んや初めてだろうよ。なあ? だからよ、俺が色々教えてやっから、なんかあったら呼べよ。そんで後からオカンと親父、あと、じっちゃんばっちゃんも紹介してやっから、あーそんで、娘もいんだわ。十八になるけどよう、あんま喋べんないでやんの。この前もよ――」

 俺は、「はあ」「ええ」「そうですか」「ですね」などといった言葉を駆使し、ビールが運ばれてくるまで堪(た)え忍んだ。そして遂に、細い指先が料理とビールをテーブルに置き始める。それを目の当たりにし、「っすね!」「ですか!」「いやー都会もエグイっすよ!」「自然が一番っす!」変容を表すと、俺の身体もまた、前のめりとなった。






2015年6月7日日曜日

第4話 「Dusk Mask」


網葉きよら中編小説 「Dusk Mask」 第4話







記事一覧


第1回 第6回 第11回 第16回
第2回 第7回 第12回 第17回
第3回 第8回 第13回 最終回
第4回 第9回 第14回
第5回 第10回第15回




Dusk Mask 第4話




 何故分かったのかというと、仮面上にある赤いラインが、二人とも七本を示していたからだ。どうやら、ラインの本数と地蔵の数が、その家の住人である事を表しているらしい。

 それならそれで、というか、俺にはなんら関係のない話ではある。閉鎖的な村に違いないだろうけど、俺にとっては目の前に住民がいようが、首輪男がいようが、帰って無双ゲームをプレイするだけの話。しかし、帰ろうにも通るべき道を塞(ふさ)ぐ形で二人が立っており、何かしらのアクションを行わなければならない状況下ではあった。

「あ、どうも、はじめまして。私はですね、私は、国勢調査で参った者でして、先程こちらの家に調査票を投函させて頂いたんです。国が行っている調査ですので何もご心配は要りません。ご面倒かと思いますが、調査票にご記入頂き、ポストに投函して頂けますでしょうか? 宜しくお願い致します」

 いつもの口調がいつものように、異質な場所の奇妙な二人へ、淀(よど)みなく発せられた。




2015年6月5日金曜日

網葉きよら新作「Dusk Mask」 第3話


網葉きよら中編小説 「Dusk Mask」 第3話







簡単なあらすじ



国勢調査のバイトをやっている主人公、「保木」は、とある村へ辿り着いた。



その村は、理路整然とされた村で、とても風情のある場所だった。


最初は、「さっさと仕事終わらせて、家に帰ろう」、そう思っていた保木だったが、いつしか、村の異質さへ驚愕することとなる。


頭の無い地蔵、卒塔婆を刺された地蔵、赤い屋根、7軒の家々、すべて同じ名字の住民、そしてなにより――


住民が「仮面を被っている」という事実。


その村では、口が三日月状になった仮面を、それぞれが被り、各々生活していたのだ。


「ヤバイとこだなあ。さっさとバイト終わらして、帰ろう」


やはりそう思った保木だったが、住民の一人である「軍次」の一言により、中央の大きな家で料理を頂くこととなる。


しかし、そこでもまた、彼らは仮面を付け、普通に生活していたのだ。


「料理だけ食べて、サクッと帰ろう……」


次々と出される料理達。それに紛れて出される、「村さめ」というお酒。


そのお酒によって、保木の意識は朦朧とし始め――




2015年6月4日木曜日

中編小説「Dusk Mask」 第2話


新作中編小説 「Dusk Mask」 第2話










簡単なあらすじ



国勢調査のバイトをやっている主人公、「保木」は、とある村へ辿り着いた。



その村は、理路整然とされた村で、とても風情のある場所だった。


最初は、「さっさと仕事終わらせて、家に帰ろう」、そう思っていた保木だったが、いつしか、村の異質さへ驚愕することとなる。


頭の無い地蔵、卒塔婆を刺された地蔵、赤い屋根、7軒の家々、すべて同じ名字の住民、そしてなにより――


住民が「仮面を被っている」という事実。


その村では、口が三日月状になった仮面を、それぞれが被り、各々生活していたのだ。


「ヤバイとこだなあ。さっさとバイト終わらして、帰ろう」


やはりそう思った保木だったが、住民の一人である「軍次」の一言により、中央の大きな家で料理を頂くこととなる。


しかし、そこでもまた、彼らは仮面を付け、普通に生活していたのだ。


「料理だけ食べて、サクッと帰ろう……」


次々と出される料理達。それに紛れて出される、「村さめ」というお酒。


そのお酒によって、保木の意識は朦朧とし始め――




2015年6月3日水曜日

新作中編小説「Dusk Mask」 第1話


新作中編小説 「Dusk Mask」 第1話







小説のお時間です。


ってことで、新作中編の掲載です。





網葉きよら 「Dusk Mask」


こちらの小説は、凡そ62000字で、数ヶ月ほど前に作成したものになります。


一応、全15回くらいの掲載予定にはなりますが、字数的に増える可能性もありますので、ご了承下さい。


また、「完全版」ということで、加筆修正した後に電子書籍化を目指しております(フリガナも紙本仕様になります)。
そちらも併せてよろしくお願い致します。


例によって、フリガナは(カッコ)として記述。3日連続更新の1日お休み。ところどころイメージ画像を挟んでおります。


画像のほうは、

無料写真素材の「写真AC」様

フリーイラスト素材の「シルエットAC」様

からお借りしています。

2社様には、心よりお礼申し上げます。





それでは、ごゆっくり読んで頂けることを心より願っております。




簡単なあらすじ



国勢調査のバイトをやっている主人公、「保木」は、とある村へ辿り着いた。



その村は、理路整然とされた村で、とても風情のある場所だった。


最初は、「さっさと仕事終わらせて、家に帰ろう」、そう思っていた保木だったが、いつしか、村の異質さへ驚愕することとなる。


頭の無い地蔵、卒塔婆を刺された地蔵、赤い屋根、7軒の家々、すべて同じ名字の住民、そしてなにより――


住民が「仮面を被っている」という事実。


その村では、口が三日月状になった仮面を、それぞれが被り、各々生活していたのだ。


「ヤバイとこだなあ。さっさとバイト終わらして、帰ろう」


やはりそう思った保木だったが、住民の一人である「軍次」の一言により、中央の大きな家で料理を頂くこととなる。


しかし、そこでもまた、彼らは仮面を付け、普通に生活していたのだ。


「料理だけ食べて、サクッと帰ろう……」


次々と出される料理達。それに紛れて出される、「村さめ」というお酒。


そのお酒によって、保木の意識は朦朧とし始め――